Onward Brass Band
一言メモ
ジャズ黎明期にニューオリンズで人気を集めていたブラスバンドの一つ。
1904年頃からManuel Perezがリーダーを務め、1920年代半ばにImperial Brass Bandと名を変える。
(尚、1960年にPaul Barbarinによって同名のブラスバンドが結成されるが歴史的な繋がりは無い)
活動時期
1887年 ~ 1930年
主要メンバー
- Manuel Perez (cornet)
- Andrew Kimball (cornet, trumpet)
- Peter Bocage (cornet, trumpet, baritone horn)
- Oscar Duconge (cornet, trumpet)
- James MacNeil (cornet, trumpet)
- Bellevue Lenair (cornet, trumpet)
- Sylvester Coustaut (cornet,trumpet)
- Joe Oliver (cornet,trumpet)
- Maurice Durand (cornet,trumpet)
- Buddy Johnson (trombone)
- Vic Gaspard (trombone)
- George Filhe (trombone)
- Baptiste Delisle (trombone)
- Steve Johnson (trombone)
- Earl Humphrey (trombone)
- Butler Rapp (trombone)
- Lorenzo Tio Jr. (clarinet)
- Luis Tio (clarinet)
- George Baquet (clarinet)
- Joseph Bruno (arto horn)
- Isidore Barbarin (arto horn)
- Adolphe Alexander Sr. (arto horn)
- Bartholemew Bruno (arto horn)
- Eddie Atkins (baritone horn)
- Aaron Clark (baritone horn)
- Eddie Jackson (tuba)
- Frank Jackson (tuba)
- Albert Tucker (tuba)
- Bebe Matthews (snare drum)
- Dee Dee Chandler (snare drum)
- Black Benny Williams (bass drum)
- Henry Martin (bass drum)
- Dandy Lewis (bass drum)
- Mike Gillen (bass drum)
- Clay Jiles (bass drum)
- Happy Goldston (bass drum)
変遷
Onward Brass Bandは少なくとも1886年か1887年には結成されていたと思われ、1887年9月10日のWeekly PelicanにはOnward Brass Bandに言及する記事が掲載されている。結成当初はコルネット奏者のJ.O. Lainezがリーダーを務めており、1889年時点での記録では、J.O. Lainezに加え、コルネットにSylvester Coustaut、バルブトロンボーンにGeorge FilheとSteve Johnson、アルトホーンにBartholemew BrunoとIsidore Barbarin、バリトンホーンにAaron Clark、ベースドラムにMike Gillenがいたという。このあたりが初期メンバーということになる。
1890年にコルネット奏者のOscar Ducongeが加入。同じく1890年代にはチューバのFrank Jacksonが加入している。Frank JacksonはExcelsior Brass Bandのメンバーでコルネットを吹いていたが、Onward Brass Bandではチューバを担当した。1890年代には、他にもExcelsior Brass BandとJohn Robichaux's OrchestraのメンバーがOnward Brass Bandに参加しており、スライドトロンボーンのBaptiste Delisle、スネアドラムのDee Dee Chandler、コルネットのJames MacNeilとJames Williams などがいたという。
1898年7月、コンサートで演奏中のOnward Brass Bandの元に軍の徴用係が訪問し、Oscar Duconge、Baptiste Delisle、Dee Dee Chandler、James MacNeilなどの多くのメンバーがスペイン・アメリカ戦争の為に軍隊に入隊することになる。この軍楽隊ではJames MacNeilがリーダーとなり、キューバにも赴いており、1899年に帰国した際にはニューヨークの5番街で勝利パレードにも参加している。
ニューオリンズに戻ったOnward Brass BandにIsidore Barbarinが合流する。Isidore Barbarinは1898年から1899年にかけてのスペイン・アメリカ戦争に従軍しておらず、この間、Onward Brass Bandを離れていた。また、Sylvester Coustautに師事していたコルネット奏者のManuel Perezが加入したのもこの頃のこと。Manuel Perezは、1903年頃から1920年代半ばにバンドが活動停止するまでリーダーを務めることになる。
Manuel Perez参加後のOnward Brass Bandの演奏はブランバンドの範疇におさまらず、Sidney Bechetが自伝の中で述べたところによると、祝賀会の場でダンスの為の演奏もしていたという。「(ブラスバンドがダンスのテンポで演奏するのは簡単な話ではないが、)本当に踊れるような演奏であった」とはSidney Bechetの言葉だ。
1910年頃にはJoe Oliver(King Oliver)も参加し、リーダーのManuel PerezがCharles Elgarの誘いに応じてシカゴを訪問した1915年以降、Manuel Perez不在時にはこのJoe Oliverがリーダーを務めた。Manuel Perezがニューオリンズに戻った時は、Manuel PerezとJoe Oliverが共にコルネットを吹いた。
1918年になるとJoe Oliverはシカゴに移り住む為にニューオリンズを離れる。その影響もあってか、Manuel Perezが二度目のシカゴ訪問(1919年)から戻った頃にはOnward Brass Bandは活動を休止していた。1921年か1922年になってManuel PerezがOnward Brass Bandを再結成し、その後、1920年代の半ばには、このブラスバンドの名前をOnward Brass BandからImperial Brass Bandに変更した。この頃に加入したトランペット奏者がMaurice Durandであり、Manuel Perezが不在の際には彼がリーダーの代役を務めていたようだ。
1927年にManuel Perezは三度目のシカゴ訪問の為にニューオリンズを離れるが、その後は(ニューオリンズに戻った後も)Imperial Brass Bandでリーダーを務めることはなかったようだ。一方で、1931年頃までManuel PerezがOnwardのメンバーと演奏していたという話も伝えられている。