George E. Lee's Novelty Singing Orchestra
一言メモ
カンサスシティで活動した人気バンドのひとつ。
Bennie Moten楽団やWalter PageのBlue Devilsと張り合ったという話も残っている。
活動時期
1920年 ～ 1930年代半ば
主要メンバー
- George E. Lee (baritone sax, leader)
- Albert Hinton (trumpet)
- Sam Utterback (trumpet)
- Harold Knox (trumpet)
- Thurston "Sox" Maupins (trombone)
- Jimmy Jones (trombone)
- Clarence Taylor (soprano sax, alto sax, baritone sax)
- Herman Walder (clarinet, alto sax)
- Budd Johnson (tenor sax)
- Julia Lee (piano, vocals)
- Jesse Stone (piano)
- Charles Russo (banjo)
- Clint Weaver (tuba)
- Bruce Redd (drums)
- Abe Price (drums)
- Pete Woods (drums)
変遷
George E. LeeとJulia Leeの兄妹は、1920年頃にはカルテットを結成し、Lyric Hall等で演奏していたという話が残されており、この歌える兄妹は中西部で人気を集めていた。
どのようにNovelty Singing Orchestraが形成されていったかは、様々な記録を繋ぎ合わせて類推する他はないが、アルトサックス奏者のHerman Walderの証言によれば、カンサスシティのミュージシャンの半数がこの楽団への在籍経験があったそうで、楽団員の入れ替わりは激しかったようだ。
George E. Leeがバンドの編成を計画的に構想するような人物ではなかったこともあるが、報酬が安く抑えられている一方で、些細な違反に罰金を科すというGeorge E. Leeの支配的な態度の影響もあり、楽団員が定着しなかったと思われる。（先ほどのHerman Walderが「かなり威圧的な人物で、Bennie Motenとは全く違った人物だった」とGeorge E. Leeを評している）
ドラムのBruce Redd、トランペット奏者のAlbert HintonとSam Utterback、トロンボーン奏者のJimmy JonesとThurston "Sox" Maupins、サックスセクションのHerman WalderとBudd Johnson、そして、編曲者として雇われたJesse Stoneあたりが主要なメンバーであった。(このうち、Bruce ReddとAlbert Hintonは後の録音では不在)
1927年頃、自身のレーベルを持つ地元のクラリネット奏者のWinston HolmesがGeorge E. Leeの楽団に録音の話を持ち掛けた。Okehレーベルへの録音を断られていたGeorge E. Leeはこれに飛びつき、この機会を活かすべく、地元の優秀なミュージシャンをスカウトして回った。Avalon Theaterで演奏していたトランペット奏者のSam Utterback、Laura Ruckerの下で活動していた地元の有名なトロンボーン奏者であるThurston "Sox" Maupins、ソプラノからバリトンまでのサックスが自在に吹ける器用なClarence Taylor、更に、新人のClint WeaverとベテランのAbe Priceをリズムセクションに加えた。
こうして吹き込まれた2曲は1927年春に発売され、地元ではよく売れていたが、他の大手レーベルとの争いに勝てずにMerittレーベルは財政的な窮地に立たされ、店じまいすることになった。
Novelty Singing Orchestraのメンバーが次に録音の機会を得たのは、その2年後のことであった。
この頃には、編曲担当のJesse Stoneが人気曲のアレンジやオリジナル曲を揃え、バンドのレパートリーを充実させていた。また、Jesse Stoneはバンドメンバーに音楽の基礎を個別指導し、各セクションごとに練習曲を提供していたという。こうした活動の成果もあり、楽団の技量は格段に進歩していた。
2か月間の準備期間を以て、George E. Lee等はBrunswickレーベルでの録音に臨んだ。この時に吹き込まれた計6曲(内2曲はJulia Lee名義)は、2年前の録音に比べるとより洗練されたサウンドになっている。
George E. LeeとJulia Leeの兄妹の人気は1930年代に入っても続いたが、時代の変遷もあり、より小編成のバンドが求められるようになった。1930年代半ば頃には、George E. Leeは小編成のコンボで演奏していたようだ。