Harlem Hamfats
一言メモ
1936年に結成されたシカゴのジャズバンド。
最初のレコードの「Oh! Red」のヒットで注目を集め、Deccaレーベルと契約。
活動時期
1936年 ~ 1939年
主要メンバー
- Herb Morand (trumpet, vocals)
- Odell Rand (clarinet)
- Horace Malcolm (piano)
- Joe McCoy (guitar,vocals)
- Charlie McCoy (guitar, mandolin)
- John Lindsay (bass)
- Fred Flynn (drums)
- Pearlis Williams (drums)
変遷
The Harlem Hamfatsは1936年に結成されたシカゴのジャズバンドで、レコード製作や起業家の分野でも成功していた黒人音楽家のJ. Mayo Williamsによって編成された。
その名前に「ハーレム」を冠しているにも関わらず、初期メンバーにはニューヨーク出身者はひとりもいなかった。兄の"Kansas" Joe McCoyと弟の"Papa" Charlie McCoyは、ミシシッピ州の出身であり、Herb MorandとOdell Rand、John Lindsayはニューオリンズ出身。そして、Horace Malcolm、Fred Flynn、Pearlis Williamsはシカゴの出身であった。
因みに、「ハムファッツ」とは、20世紀初頭のスラングで「二級品」とか「代用品」という意味があり、The Harlem Hamfatsは「ハーレムの(質の悪い)代用品」のような意味合いになるのだろう。これは遊び心からつけられた名前であり、集められたメンバーは実力者揃いであった。
様々な背景を持つメンバーが集まったことで、このバンドのサウンドは、ブルースやニューオリンズジャズ、スウィングが混ざったような独特な物になったと言われる。楽曲については、主にHerb MorandとJoe McCoyが中心となって書いた。
1936年4月に吹き込まれた「Oh! Red」がヒットすると、Harlem Hamfatsは、Deccaレーベルとの間で50曲の吹き込みを行う契約を結ぶこととなった。この「Oh! Red」はCount Basieにカバーされた他、ウェスタン・スウィングのバンドにも取り上げられた。彼らの一連の録音の中はリフを基にしたスタイルの楽曲が多く、こうしたHarlem Hamfatsの音楽は、後のLouis Jordanの小編成コンボやリズム・アンド・ブルース、更にロックンロールにも影響を与えたと言われている。
1939年にトランペット奏者兼ボーカルを務めていたHerb Morandが故郷のニューオリンズに戻ると、Harlem Hamfatsはその代役として女性トランペット奏者のAnn Cooperを迎え、Vocalionレーベルでレコーディングを続けた。スウィング期における"女性"の金管楽器奏者の録音は少なく、1939年のHarlem Hamfatsに参加したAnn Cooperは、その数少ない例のひとつである。
流行の変化に取り残されていたこともあり、Harlem Hamfatsは1939年に解散した。